Lumen
- Keikoic
- 2017年8月25日
- 読了時間: 3分

夏休みが終わる。そして、大学が始まってしまう(不安)!教授から具体的な予定を知らせるメールが入り出す。「さ、モードをオフからオンへ切り替えて!」とでも言わんばかりのアラートに聞こえる。
事務連絡に紛れて、「MOMA PS1で開催中のJenny Sabinのインスタレーションで彼女と会えるワークショップがあるので、興味があれば行ってみて」と、促す案内があった。Jenny Sabin氏は、今年のThe Museum of Modern Art and MoMA PS1のヤング・アーキテクト・プログラムの勝者として、この空間を任されている。教授からの紹介文には、「建築家兼コンピュータ・サイエンティストでテキスタイルをメディアにしている。以前彼女について(アカデミック・ジャーナルで)書いたけど、とても素晴らしい人物で、いい機会だから」とあり、なんか、スゴそう。
さて、行こうか、どうしようか。「PS1に行くいい機会だし、Jenny氏の話も聞いてみたいけど、ワークショップかー。建築の学生や教師が参加するものらしいし、うー、大丈夫かなあ…。学校始まる前の最後の日曜日だし、やっぱ、家でゆっくりしようかなー…。」と、ありがちに、暫く逡巡していたが、「ここで尻込みするようだったらこの先ないぞ!興味があるなら何でも飛び込め!」と決め込み、ここで勢い「オン」モードに切り替えて参加することにした。
さて、インスタレーションの"Lumen"とは何かというと、生物学、マテリアル・サイエンス、数学、工学等の知恵を結集して開発された、デジタル的に機械で織られている素材。人間の存在や環境に適合する素材で、昼間に太陽のエネルギーを吸収し、太陽が沈むと鮮やかな光を放つ。この性質を利用して、素材を生物の細胞組織のように繋ぎ合わせ、MOMA PS1の中庭に、周囲とインターラクティブな巨大なキャノピーが出現していた。
Jenny氏はとてもマルチな才智を持つ人物で、このインスタレーションが実現するまでに、いかに斬新なアイデアと様々な分野の最先端の技術と知恵が結集されているのかを分かりやすく説明してくれた。ワークショップはというと、Lumenが環境に合わせてが変化する様子を自分なりの視点で10枚の写真に切り取ってプレゼンするというお題で、ポラロイドカメラを渡された。(最先端の物体を撮る時も、やはりイベント事で活躍するのはポラロイド!😁)案ずる程ハイ・ブローなことではなかった。何より、こういう場では、多少トンチンカンなことを仕出かしても怒られたりはしないので、とにかく参加すればよいのだ!
現役の建築家であり、大学の教育者であり、かつ分野を跨いだ研究で新素材の開発もするという、マルチなJenny氏。(ご本人の言葉を借りていうと“wearing three hats”と言っていた。英語では、“草鞋”ではなく“ハット”というのが面白い。)何かを成している人の中には、このように複数の才能や経験を持つ人が珍しくないし、事なる分野や知見の掛け合わせによる協業が、オープン・マインドに、スピーディーになされて、次々と新しいことが生まれていることに、気付かされる。私は、無念にも、自分のボキャブラリーにない言葉が飛び交う場で、時にあたかも解っているげに、これはお手上げだという時にはバカを貫いて、その場の気分を楽しんでいる。
Lumen

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